SNS運用のKPIは、目的から逆算して、見る数字を3つに絞ると管理しやすくなります。数字は多いほど詳しく分かるように思えますが、実際には見るべき数字が増えるほど、何を直せばよいか分からなくなります。
KPIとは、目標に向かって進んでいるかを確かめるための数字のことです。ここでは、KPIの考え方、選び方、目標値の決め方、見直しの頻度を、初心者向けに順を追って説明します。
KPIが必要な理由
SNSの管理画面には、たくさんの数字が表示されます。表示回数、いいね、保存、フォロワー数、リンクのクリックなど、どれも気になりますが、すべてを追いかけることはできません。
KPIを決めておくと、毎回見るべき数字が決まり、振り返りが短い時間で済みます。また、運用が目的に近づいているかを、感覚ではなく数字で判断できます。
KPIを決めないまま運用を続けると、反応が増えたことだけで満足したり、減ったことに不安になったりします。目的と数字を結びつけておけば、数字の増減の意味が分かるようになります。
目的から数字を選ぶ
最初に、SNS運用の目的を確認します。目的は、行動の言葉で書きます。たとえば次のような例です。
- 店の予約ページを見に来る人を増やしたい
- 新しい人にアカウントを知ってもらいたい
- 既存のお客様との関係を保ちたい
- 資料請求や問い合わせにつなげたい
目的が決まれば、それに近い数字を選べます。予約ページへの案内が目的なら、プロフィールのリンクのクリック数や、ストーリーズのリンクのクリック数が主な数字になります。知ってもらうことが目的なら、リーチ数(投稿が届いた人の数)や、新しいフォロワーの数が合います。
3段階で考える
数字を選ぶときは、認知、関心、行動の3段階に分けると整理しやすくなります。
- 認知: どれだけの人に届いたか(リーチ数、表示回数)
- 関心: どれだけ興味を持たれたか(保存数、コメント数、プロフィールへのアクセス数)
- 行動: 実際にどれだけ動いたか(リンクのクリック数、問い合わせ数)
各段階から1つずつ選ぶと、3つのKPIになります。たとえば、認知はリーチ数、関心は保存数、行動はリンクのクリック数、という組み合わせです。
3段階で見ることで、どこに課題があるかが分かります。リーチ数はあるのに保存が少なければ、内容が読み手に響いていない。保存はあるのにクリックが少なければ、案内のしかたに課題がある、といった具合に、直す場所が見えてきます。
フォロワー数をKPIに入れるか
フォロワー数をKPIに入れても構いませんが、それだけを見るのは避けます。フォロワー数が増えても、行動につながっていなければ、目的は達成されません。入れるなら、他の2つの数字と組み合わせて見ます。
目標値の決め方
KPIを決めたら、目標値を置きます。最初は、現状の数字を記録することから始めます。1か月ほど記録すると、自分のアカウントの平均的な水準が分かります。
目標値は、現状より少し高い程度に設定します。極端に高い数字を置くと、達成できずに意欲が下がります。たとえば、現状の平均が100なら、110〜120くらいから始めます。
他のアカウントの数字や、ネットで見かける平均値を目標にするのは避けてください。分野や規模が違うと、数字の意味も変わるためです。比べる相手は、過去の自分にします。
見る頻度と記録のしかた
KPIは、週に1回、決まった曜日に記録する方法が続けやすいです。毎日見ると数字の細かい上下に振り回され、月に1回だけだと変化に気づくのが遅れます。
記録は、表計算ソフトに、日付、KPI3つの数字、メモの欄を作って入力します。メモには、その週に何をしたか(投稿の本数、新しい試み)を一言書いておくと、数字の変化の理由を後から考えられます。
数か月分の記録がたまると、グラフにして推移を見られます。大きな変化があった時期に、何があったかを思い出す材料になります。
KPIの見直し
運用を続けると、目的が変わったり、KPIが合わなくなったりします。3か月に一度は、KPIが今の目的に合っているかを確認してください。
たとえば、最初は認知を重視していても、フォロワーが増えて安定してきたら、行動につなげる数字へ重心を移します。KPIは、一度決めたら固定するものではなく、段階に合わせて調整するものです。
目的別のKPIの組み合わせ例
店舗の集客が目的なら、認知はリーチ数、関心はプロフィールへのアクセス数、行動は電話や道順ボタンのタップ数、という組み合わせが考えられます。ネット予約が中心なら、行動を予約ページへのクリック数にします。
情報発信でファンを作りたい場合は、認知はリーチ数、関心は保存数とシェア数、行動はメールマガジンやブログへの誘導クリック数が合います。物販なら、行動を商品ページへのクリック数にして、購入数と合わせて見ます。
どの組み合わせも、あくまで一例です。自分の目的に近い数字を選び、データが取れるかも確認してください。
数字が取れないときの代替
SNSの管理画面で取れる数字には限りがあります。取れない数字は、別の方法で補います。たとえば、予約や問い合わせの際に「どこで知りましたか」と聞く、特典の合言葉を使う、といった方法です。
SNSからのクリックを細かく測りたい場合は、リンクに計測用の印を付ける方法があります。詳しくは、計測の記事で紹介しています。
複数人で運用する場合
複数人で運用するときは、KPIを全員で共有します。数字の定義(リーチ数はどの画面の数字か、いつ時点の数字か)がずれていると、話が噛み合いません。表の先頭に、数字の定義と、取得する曜日、見る画面を書いておくと、誰が記録しても同じ数字になります。
数字に振り回されないために
数字は、増えると嬉しく、減ると不安になります。ただし、短期間の上下は、投稿の内容や時期、アルゴリズムの変更など、さまざまな要因で起こります。数字が下がったときは、一つの週で判断せず、数週間の流れで見てください。
また、数字に表れないことも大切です。お客様からかけられた言葉や、DMで届いた感想は、数字では測れない成果です。KPIとあわせて、メモに残しておくとよいでしょう。
次にやること
次の順で、KPIを決めましょう。
- SNS運用の目的を、行動の言葉で一文にする
- 認知、関心、行動の各段階から、数字を1つずつ選ぶ
- 今の数字を、1か月間記録する
- 現状より少し高い目標値を置く
- 週に1回、記録して、メモに理由を書き残す
数字は、アカウントを責めるためのものではなく、次の一手を考えるための材料です。見すぎずに、続けてください。




